覚書とは

通常、契約書を補足する目的で作成される合意文書を指します。
例えば次のようなケースで作成されます。

●正式契約の前の合意事項について確認する。

●契約の重要でない部分(例えば賃借料の金額など)の一部を変更する。

●細則を制定する。

●既存の契約書の解釈上の疑問点に着いて明確化する。

また、契約書を作るほどではないが、お互いの約束事を確認するために作成しておく略式の文書一般を覚書ともいいます。

覚書には契約と同じように二人以上の当事者が調印することになります。内容は契約と同じように法律効果を発生させようという合意の場合もあれば、契約書には記載されなかった事項について、追加したり、具体的に詳細な事項についての約束事を内容とする場合もあります。

契約の実質をもつ場合は略式の契約といえるでしょう。現実に覚書という場合は、一般的には契約に付随した約束事に多く使われています。

たとえば、覚書として、「甲と乙とは平成○年○月○日付○○契約書第○条の履行の方法について次のとおり合意した」として、履行の具体的手続きを決めることがあります。

契約書と覚書 念書

現代は訴訟社会といわれています。その訴訟社会の中で必然的に高まる契約書の重要性は避けて通る事は出来ないだろう。

企業活動ではさまざまな取引が行われますが、取引に際しては契約がなされます。例えば商品の売買においては、当事者間で品物を取引する際の基本的な約束事を取り決めます。

このとき、原則的には口頭でも契約は有効に成立します。しかし、後々トラブルにならないように、当事者間の合意内容をきちんと「契約書」という文書で残しておくことが重要です。

特に最近は、訴訟なども増えており、その重要性が高まっています。当事者間で争いが生じた場合、契約書が証拠になり契約書に従って判断されます。

これよりあとの記事で契約書と覚書などの関係は次第に理解いただけると思いますが、一般的には契約に付随した約束事に多く使われています。

たとえば、覚書として「甲と乙とは平成○年○月○日付○○契約書第○条の履行の方法について次のとおり合意した」として、履行の具体的手続きを取り交わしたりするということですね。

「覚書」「念書」も契約書に含まれる


契約に際して「覚書」「念書」といった言葉をよく耳にしますが、その有効性は通常の契約書と何ら変わりません。契約書ほど堅苦しい感じがしないからといって、簡単に考えてはダメです。

「覚書」及び「念書」は契約書と同様当事者の特定、記載内容の特定、署名捺印などが必要です。

覚書の書き方 ポイント

1.前文
 「目的」や「当事者」など契約の概要。

2.表題
 書き方に決まりはない。
 契約内容が分かるよう、「xxx契約書」「念書」「覚書」などと分かりやすくまとめる。

3.当事者の表示
 当事者は、個人の場合は「住所」と「氏名」、法人は「本店所在地の住所」と「法人名」。

4.目的
 契約の趣旨や目的、内容

5.作成年月日
 契約が成立した日を証明する大切な箇所になる。
 契約の有効期限を確定するなどのためにも重要。

6.署名押印
 印鑑は通常は何でもかまわないが、重要な契約においては実印を使用した方がいい。
 その際は勿論の事だが、印鑑証明は取っておく事。

7.目録
 契約の対象物を書き、別紙として目録を作っても良い。

8.収入印紙の貼付
 収入印紙の貼付により契約書は有効になる。
 契約書を複数作成する場合はそれぞれに印紙を貼り、印紙には契約書に使用した印鑑で消印をする。

9.後文
 契約が成立した旨や何通作成したかなどを書く。

覚書などに記載する重要項目

1.契約期間、履行期限

2.契約期間途中の解約(解除)

3.期限の利益(喪失)

4.損害賠償の限度額

5.危険負担

6.瑕疵担保責任特約

7.担保提供や連帯保証人

8.支払条件

9.裁判所の合意管轄

10.不可抗力免責特約

11.秘密保持

12.検査(検収)期間

13.所有権留保特約は付ける

覚書の書式文例

契約書の条件を変更した場合の覚書

   平成・・年・・月・・日締結の・・・・・契約書に付随する覚書

・・・・・・(以下、甲と呼ぶ。)と・・・・・・・・(以下乙と呼ぶ。)は、平成・・年・・月・・日締結の・・・・・・・契約書の第・・条について、双方同意の上、下記の件についてのみ例外を認めることとし、覚書を作成する。

                        記

(合意した事項を記載する。)


以上

平成・・年・・月・・日


               甲 住所、氏名 印

               乙 住所、氏名 印

契約締結交渉の過程で決定したことを控えておく覚書

     
・・・・・・に関する契約についての覚書

・・・・・・(以下、甲と呼ぶ。)と・・・・・・・・(以下乙と呼ぶ。)は、本日、・・・・・・・に関する契約交渉過程で以下の事項について、決定したので、ここに覚書を作成する。


                        記

(合意した事項を記載する。)


以上

平成・・年・・月・・日


               甲 住所、氏名 印

               乙 住所、氏名 印

覚書記載の書式例

事業用借地権設定契約に関する覚書記載例

         覚  書
 借地権設定者○○○○(以下「甲」という)と借地権者△△△△有限会社(以下「乙」という)とは借地借家法(以下「法」という)第24条に定める事業用借地権の設定に関し,次のとおり覚書を締結する。
第1条(目的)


 甲は別紙記載1の土地を賃貸し,乙はこれを借り受ける。
 上記記載の土地の賃借権(以下「本件借地権」という)は,契約の更新(更新の請求及び土地の使用の継続によるものを含む)及び建物の築造による存続期間の延長がなく,法第13条の規定による建物の買取請求をすることができないものとする。
 本件借地権については,法第3条ないし第8条並びに民法第619条の適用はないものとする。
第2条(存続期間)


 本件借地権の存続期間は事業用借地権設定契約をした日から10年間とする。
第3条(用途等)

 乙は,本件土地を専ら○○○販売事業の用に供する建物を所有するため使用するものとし,居住の用に供する建物を建築してはならない。
 乙が本件土地上に建築する建物は別紙目録2記載の建物とする。
第4条(賃料)

 賃料は月額金○○万円とし,乙は甲に対し毎月末日限りその翌月分を甲の指定する金融機関の預金口座に振込んで支払う。振込料は乙の負担とする。
 前項の賃料には第6条に規定する駐車場使用料を含むものとする。
第5条(賃料の改定)

 賃料は3年毎に,社会情勢・経済情勢などを勘案しながら改定するものとする。
 前項の改定時期及び改定割合によることが著しく不公平となったときは,甲乙は別途協議する。
第6条(駐車場)

 乙は本件土地のうち建物の敷地を除く空地部分について,駐車場として使用することができる。
 前項の駐車場としての施設の整備並びに維持と管理は乙の費用と責任において行うものとする。
第7条(保証金)

 乙は甲に対し,保証金として金○○○万円を預託する。
 この保証金は無利息とする。
 この保証金は,本件借地契約が終了したときに,乙の本件借地契約にかかわる債務を控除した残額を,甲は乙に返還する。
第8条(賃借権の譲渡・転貸禁止)

 乙は本件借地権を他に譲渡・転貸してはならない。
第9条(増改築の制限)

 乙は,本件土地上の建物を増改築し,又は新たに建物を築造(以下再築という)しようとするときは,あらかじめ甲の書面による承諾を得なければならない。
第10条(契約の解除等)

 乙に次の各号の1に該当する事由があったときは,甲は何ら催告なくして本件借地契約を解除することができる。
  第4条の賃料の支払を3か月以上怠ったとき。
  第3条に定める使用目的に違反し,または土地の用法に違反したとき。
  第8条に違反し,賃借権の無断譲渡・転貸をしたとき。
  第9条に違反し,建物の無断増改築・再築をしたとき。
  その他この契約に違反し,催告したにもかかわらず是正しないとき。
第11条(公正証書による契約)

 甲及び乙は,平成○年○月○日を目途に,公証人役場において公正証書により,この覚書に基づく事業用借地権の設定契約をする。
第12条(登記)

 甲及び乙は,前条の契約が締結された後速やかに,事業用借地権の登記をするものとする。
第13条(契約の費用等)

 この覚書及び公正証書契約締結費用,並びに登記の費用は甲乙折半で負担する。
第14条(その他)

 本件借地権の設定に関し,この覚書に定めのない事項及び疑義のある事項は,甲乙協議して定める。
第15条(附則)

 本覚書は,乙が建物を建築する申込をするに当たり,本件事業用借地権を設定するものである。

 この契約の成立を証するため本書2通を作成し,甲乙各1通を保有する。


目  録
      1.土 地
           所在地
           地 積
           地 目           
      2.建物
           木造○階建て 延べ    u


平成○年○月○日

  貸主(甲)

  借主(乙)

  仲介人

覚書 超簡単な雛形(サンプル)例

ごく日常生活の中での覚書の簡単雛形として紹介しておこう。
ここでは金銭借用の覚書のサンプルとしてみて頂きたい。


1、標題を明記。

  「金銭借用覚書(借用書)」


2、宛名を明記。

   「金貸 銭平 殿」


3、内容の明記。

  私は貴殿に金20万円、確かに借用しました。
  金銭使用目的は、実母入院費用支払いで相違ありません。
  ギャンブルやその他のレクリエーションの資金使途ではあり
  ません。


4、支払期限。

  支払期限は、夏のボーナスの支給日の本年7月30日と
  致します。


5、その他の約定。

  遅延の場合には、法定の最低利息の年5分とする。



6、以上相違ないことを証明し、署名押印し、覚え書を
  発行する。


7、当事者目録。

  借り手、山田 太郎      印

    東京都神田区○○町7-25-631 

覚書に収入印紙は必要か?

覚書は契約書ではないので収入印紙をはらなくてもいいのか?


たとえ覚書であっても、印紙税が発生する場合があります。

少し長くなりますが、印紙税法別表第1「課税物件表」第5項によれば、契約の成立の定義を、文書の名称のいかんを問わず、 契約の内容の変更の事実等により判断するとしています。

たとえ「覚書」という名称であったとしても、覚書により契約事項のうち何らかの重要な変更、補充等 があった場合には、課税文書となります。

この覚書が「変更契約書」であった場合の取り扱いについて、国税庁が以下のように説明していますので、ご参考にしてくださいね。


変更契約書の記載金額については、変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかであるか否かにより、次のようにその取扱いが違います。


 変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明らかな場合。
 例えば、変更契約書上に変更前の契約書の名称、文書番号又は契約年月日など変更前契約書を特定で きる事項の記載があるような場合。

(1)
 変更金額が記載されている場合
 これには、変更前の契約金額と変更後の契約金額との差額が記載されている場合及び変更前の契約金額と変更後の契約金額が記載されていることにより変更金額を算出できる 場合も含みます。

 変更金額が変更前の契約金額を増加させるものであるときは、その変更金額が記載金額になります。
(例)
 当初の売買金額90万円を110万円とすると記載した文書、あるいは、当初の売買金額90万円を 20万円増額すると記載した文書。記載金額は20万円。

 変更金額が変更前の契約金額を減少させるものであるときは、その変更契約書の記載金額はないものとなります。
(例)
 当初の売買金額90万円を70万円とすると記載した文書、あるいは、当初の売買金額90万円を20万円減額すると記載した文書。記載金額のない文書。

(2)
 変更後の金額のみが記載され、変更金額が明らかでないときは、変更後の金額が記載金額となります 。
(例)
 当初の売買金額を90万円に変更すると記載した文書。記載金額は90万円。



 変更前の契約金額を記載した契約書が作成されていることが明かでない場合。

(1)
 変更後の金額が記載されているときは、変更後の金額が記載金額となります。
 これには、変更前の契約金額と変更金額とが記載されている等により変更後の金額を算出できる場合を含みます。
(例)
 当初の売買金額90万円を110万円とすると記載した文書、あるいは、当初の売買金額90万円を20万円増額すると記載した文書。
 記載金額は110万円。

(例)
 当初の売買金額90万円を70万円とすると記載した文書、あるいは、当初の売買金額90万円を20万円減額すると記載した文書。
 記載金額は70万円。

(2)
 変更金額のみが記載されているときは、変更前の金額を増額するもの及び減額するもののいずれもその変更金額が記載金額となる。
(例)
 当初の売買金額を20万円増額すると記載した文書、あるいは、当初の売買金額を20万円減額すると記載した文書。
 記載金額は20万円。